そのあとに『俺とまゆだって大学行ってないしな』って苦笑したお父さんは、煙草に火をつけた。



「薄々は気づいてたんだよ。お前が進路のこと悩んでんのに、俺たちに言えないこと」


「……え?気づいてたの?」


「あぁ。でもお腹にいる赤ちゃんのことで色々と忙しくて、お前の話を聞けなかった」



申し訳なさそうな顔してそう言うお父さんは、煙草の煙を口から吐き出した。


煙草から灰が落ちそうなのを発見した私が『落ちそうだよ』って言うと、お父さんは慌てて灰皿に落とした。



「お前に怒ってるんじゃない。お前の話を聞けなかった自分に怒ってるんだ」


「……うん」


「でもな、お前が悩んでることを俺たちに話さなかったのは、理由があったとしても寂しかった」



『寂しかった』というお父さんを見て、胸の奥がズキンとした。



今さらだけど、進路について話しておけばよかったなって後悔した。



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