はっきり言って、私の先には何も見えていなかった。
“趣味”と言えるものも無ければ、
“ハマってるもの”も無かった。
これから“したいこと”も無ければ、
ずっと前からの“夢”も無かった。
普通に高校生活を過ごして、普通に勉強をして、普通に遊んだ。
何か1つに没頭したことも無かったし、何か1つに没頭したいとも思わなかった。
だけど、ひたすら葵を好きだった。
離れたくなくて、離したくなくて、ひたすらしがみついてた。
私の高校生活は“葵一色”だった。
だから私は………これからの人生も“葵一色”で生きていきたいって思った。
「ごめんなさい。あたし……今まで避けてたの。進路の話をすることに抵抗があったの」
「………」
「何かしたいわけじゃないし、これといって得意なものも無いし。進路の話をすることが怖かったの」
「………」
「……それで、やっと決めれたの。これから自分がどうしたいか、自分が何をしたいのか、分かったの」
「…それで、大学に行かないって決めたのか?」
私は小さく頷いた。
お父さんは呆れるだろうか。
お母さんは笑うだろうか。
………これから………葵のために生きたいという私のことを。
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