何でお父さんが私が“大学に行かない”ことを知ってるのか分からなかった。



だって、誰にも言ってない。

家族には、誰にも言ってない。

それなのに……………何でお父さんは知ってるんだろう。



葵にはちゃんと話した。



でもそれは、私から切り出して話したわけじゃなくて、葵が自分のことを切り出したからだった。



カメラマンに憧れて、将来はカメラマンになりたいって言ってた葵。



だけど、葵はその夢を止めた。

諦めたんじゃなくて、カメラマンになりたいという夢を、止めた。



その理由は私には教えてくれなかったけど、葵は………



『諦めたんじゃねぇ。止めたんだ。またいつか機会があったらやる』



力強くそう言った。



だから止めた理由を聞けなくても、私は葵のその考えに何も言わなかった。



だから、私も決めなきゃって思った。



大学を行くか行かないか。



もう答えは、出てた。



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