GOLD BOY〜不良彼氏〜




「……ごめ」


「ごめんね、なんて言うんじゃないよ」



私が産まれてきたこと、私のせいでお母さんの大切な時間を無駄にしてしまったこと。



他にもお母さんにはたくさんの苦労をかけてきたから、この機械に『ごめんね』って言おうしたのに………。



「……え?」



お母さんに遮られた。



遮られたってことは、私が謝っても許してもらえないからなのかもしれない。


謝ったからって時間は戻ってこないし、謝ったからって済む問題じゃないからかもしれない。


お母さんは私に自分の大切な時間を無駄にされたことを『ごめんね』の一言で片付けてもらいたくなかったからかもしれない。



お母さんが次に口を開くまでの間に、私はそんなことを頭の中でずっと考えてた。



そんなことを考えてたら、自然に涙がポロポロと出てきちゃって、自分でも驚いた。



お母さんの方が泣きたい気分かもしれないのに。

私が泣く意味なんてないのに。



………涙が止まらなかった。



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