葵の足を思い切り踏み、何もなかったかのように先を歩き出した。



「…てめっ」


「あたしよりテストの点数低い人に馬鹿って言われたくないんですけどー」



(※馬鹿とは言われてない)



「冗談で言ったんだって」


「…えっ?」



ニコッと葵は笑うと、自然にあたしの肩に腕をまわしてきた。



その腕を擬視するあたしを無視しながら先に進んでいく葵。



「そうか…、美鈴は冗談通じなかったな」



それなのに冗談を言う葵って……



なんか考えるのも疲れてきた。



肩にまわってる葵の腕を無理矢理ほどいて、葵の先を歩いた。




「あ!逃げんな!」



大声であたしにそう叫ぶ葵を、周りの人たちは冷たい目で見てた。



「もうっ、大声出さないでよ」


「お前が逃げるからだろうが」



いや、逃げてないし。



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