見事に落ちて割れたであろうカップが視界に入った瞬間、『あっ!』と叫んでしまった。
2つ割れて破片があちらこちらに飛び散っていて、近づくのは危険だと察知した。
「割れてんじゃん」
床にある割れてるカップを見に来た葵は呑気にそんなことを言って、私の隣にしゃがんだ。
割れてることが信じられない私は、その場で立ちすくしてた。
「なぁ、このカップって割ったらそんなにヤバいの?」
割れたカップの大きい破片を手にとった葵は、立ってる私を斜めに見上げてそう言った。
ヤバいってもんじゃない。
殺されるかもしれない。
お母さんは大事にしてたものには異常なくらいの執着心を持ってる。
だから、大事にしてたペアのカップが割れてたなんて知ったら絶対に……。
「………あたし………殺されるかも……しれない………」
「は?」
「どうしよう……」
「他のカップじゃダメなの?」
ダメに決まってる!
一緒のじゃないと!
お母さんの性格からして、カップを割ったのを許してくれるとは思えない。
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