『康介さんは先輩がケガしてること知ってたんです。しかも右膝だっていうことまで。
それと、先輩が本気で自分のことを嫌ってるのも分かってた。けど、康介さんは先輩のこと認めてたんです。
ケンカ強いのも、周りの人から熱い信頼を得てるのも。だからムカついたんでしょうね。わざとケガしてる所を狙ったんです』
一気にそこまで話した金髪男は、そのあと『ふぅ…』と呼吸を落ち着かせて再び話し出した。
「さっきは、すみませんでした」
「何が?」
「その……負けたんですよね…なんて聞いちゃって………」
「別に気にしてねぇよ」
「いや!ダメなんです!だって先輩は負けてないんです!」
「は?」
急に葵に対しての態度が低くなって、この金髪男のしたいことが更に分かんなくなったけど、
金髪男が悪いやつじゃないってことだけは分かった。
それと、葵は私が思ってるよりケンカが強いらしくて、康介さんに負けたわけじゃないらしい。
康介さんは葵がケガしてる場所をわざと狙ったから葵は負けたんであって、康介さん自身は葵が負けたなんて思ってないらしい。
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