「お前、何がしたい」
殴った方の手をズボンのポケットに入れて、倒れてる金髪男を見下ろしながら葵はそう言った。
「いってー…」
殴られて口の端から血が出てる金髪男は、痛そうに口の端を手の甲で拭った。
しゃがんでる不良たち数人は特に葵を止めるでもなく、その場で２人を大人しく見てるだけ。
葵の言う通り、本当にこの不良たちは何がしたいんだろう。
葵を挑発して、殴られて、まるで殴られるのを待っていたかのような態度をとる金髪男と不良たち。
「先輩、知らないんですか？」
「何が？」
「先輩が、康介さんとやってから『最強の金髪』ってウワサされてんの」
葵が今、『最強の金髪』ってウワサされてる？
意味が分かんない。
何で？
葵には悪いけど、康介さんとやって葵は負けたんだからウワサされるとしたら
“最強”じゃなくて、“弱い”とかそういう言葉がつく方が納得できる。
それなのに、最強？
当の本人の葵も納得できてないみたいで、すぐには金髪男も葵も喋らず沈黙がしばらく続いた。
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