次の日の朝、葵は私の家の前まで自転車でいつものように迎えに来てくれた。



『怪我大丈夫?』って聞くと、言葉では返してくれなかったけど、

手で私に後ろに乗れっていってたから、体調は大丈夫なんだなって分かった。



学校に着いて教室に入ると、なぜか黒板の前で腕を組んで仁王立ちしてる天沢先生がいた。



天沢先生は前のドアを開けた私をギョッとした目で見てきた。



私……………何かしたっけ?



しばらくの間、天沢先生が私を見つめるから、私はその場から動けずにいた。



すると、天沢先生はゆっくりと口を開いた。



「…佐々木は?」


「………」



え?私じゃないの?

しかも待ってたのって、葵なの?

ここで葵?



葵目的で私のクラスで待ってたらしい天沢先生は、ジリジリと私に近づいてきた。



こ、今度は…何?



「お前、佐々木と一緒に来たんじゃないのか?」


「……一緒に…来ましたけど」


「じゃあ佐々木は?」



どうやら天沢先生は、クラスを持っていないからか、葵と私がクラスが違うって知らないみたいだった。



だから葵に用があったのに、私のクラスで待ってたってわけか。



やっと納得できた。



「先生。あたしと葵クラス違うんだよ」


「え?お前ら……クラス一緒なんじゃないの?」


「ううん。葵は隣の6組」



私が親切にそう言うと、天沢先生は『そうだったのか、ありがとな』と私の頭をポンポンして教室を出ていった。



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