葵の言ってることが分かんないのは、ときどきある。


でも最後には葵に説明されなくても自分で理解して、葵の言ってることが分かるようになる。



だけど今回は全くといっていいほど…………分かんない。




「いつ“別れよう”って言った?」


「え?」



葵がのぞき込むように私の顔を見てきたから、私の顔は赤くなった。



「いつ俺がお前に“別れよう”って言った?」


「……え?」


「いつ俺がお前に別れの言葉言ったんだよって聞いてんの」


「………」


「しかも、お前だって別れようなんて言ってねぇじゃねぇかよ」


「………いや……」




…………ちょ……っと待ってよ。



確かに言ってないけど!

別れようなんて言ってないけど!

別れようなんて言われてないけど!


あれって、あの雰囲気って、別れる寸前って感じだったじゃん。

葵だって『別れてぇのか』って聞いてきた後『そうか』って納得してたじゃん……。

その後だって緑さんに私を遅らせたし……。



今更………別れてねぇだろうがって言われても………。



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