それから慎悟くんと菊哉は私の知らない世界の話をしたり、車の話をしたりして盛り上がってた。



私の知らない世界の話には、

たまに"デビル"って言葉が出てきてたから、デビルの話をしてるんだなってことは分かった。



私は助席で暇だから、さっき慎悟くんに車につけてもらったiPodをいじくってた。



iPodの中には、流行りの曲がたくさん入ってて、大和さんが音楽を好きななことが分かった。



すると、何曲目か分かんない曲を聴いてたとき、助席の窓がトントンと叩かれた。



………?



窓に顔を向けると、そこにはにっこり笑ってる大和さんがいた。



窓を叩かれたのはドアを開けてって意味だと解釈した私は、素早くドアを開けた。



「美鈴ちゃん、あいつの看病してやってくれる?」



ドアを開けて外に出た私に、慎悟くん同様、優しい声でそう言った。



「看病………ですか?」


「うん。折れてるとこはないみたいなんだけど、かなり殴られたらしく、痣多いんだよ」



“あいつ”っていうのは“葵”のこと。


それだけはすぐに分かった。


………たぶんだけど、たくさん殴って痣をつくらせたのは康介さんだと思う。



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