葵の洋服についてる誰のか分からない血を見てゾッとした。


"返り血"っていうんだろうか。

これが。



葵の痛そうに腫れて少し血が出てる瞼に、私がいつも持ち歩いてる絆創膏を貼ってあげた。



口の端にも貼って、おでこについてる血をティッシュで拭き取った。



思ったよりも手当てはスムーズに出来て、葵も何も言わずに大人しく手当てを受けてた。



そして、その横では……。




「ダーリンばっか手当てしてねぇで俺たちも診ろ」



何様なのか知らないけど、上から目線で『診ろ』と言う、ソファーのすぐ横に倒れてる菊哉。



「人にものを頼む態度がそんなんなら手当てしてあげないけど」


「……ちっ」



絶対わざと私に聞こえるようにしただろうってくらいの大きい舌打ちをした菊哉。



もういっそのこと、菊哉だけ手当てしないで慎悟くんと葵だけ手当てしてあげようか。



「……なぁ」


「何よ」


「手当て、し、して、してくだ…………無理だ!敬語とか無理!しかも美鈴に向かってとかマジ無理!」


「ふーん、あっそ。そんな態度だったら手当てしてあげないから」



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