「……お前……来るなよ」
ソファーに横たわってる葵は、康介さんみたく瞼が青紫色で腫れてて予想通りの顔だった。
「負けたんだね」
私が嫌みっぽくそう言うと、葵は『ちっ』って舌打ちした。
顔を殴られたからなのか首が痛いらしい葵は、
私の方を見ようと、顔を横に動かそうとしたけど、動かそうとしただけで動かなかった。
「……大丈夫?」
「大丈夫に見えんのか?」
「……見えない」
分かってる。
葵が本当は負けて怪我してる姿を見られたくないって。
ちゃんと分かってる。
でも………やっぱり心配だから見てしまう。
「あー…いってぇ…」
切れて血の出てる口の端を指で触りながら顔をしかめる葵。
………大丈夫?
またそうやって聞きそうになったから、なんとか言葉を飲み込んだ。
大丈夫?なんて聞いて、大丈夫って答えてくれるはずがない。
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