康介さんが来たってことで、葵が負けてしまったんだと実感させられて、なんだか悔しくなった。




「手加減したから大怪我まではいってねぇと思う。でも一応見に行ってきた方がいい」


「慎悟くんと…菊哉は……」


「慎悟も軽い怪我だけど………」



………だけど?



康介さんは言いにくそうに首に持ってた手で首を掻くと、



「あー……菊哉はたぶん鼻の骨折れてる」



今度は申し訳なさそうに、そう言った。



お、折れてる?!

菊哉の鼻が?!



はっきりいって菊哉の顔がどうなろうと興味ないからどうでもいいんだけど、



実際鼻の骨が折れてるって聞いたら菊哉が可哀想に思えて………全力疾走で倉庫に向かってた。




倉庫にある一つしかない扉を勢いよく開けて、まず私の目に入ってきたのは、数人の怪我をして倒れてる人。



体を少しずつ動かしながら起きたり、怪我をしてるとこを痛そうに押さえながら倒れたままの人もいる。



そして、その中には、ソファーに仰向けに倒れてる葵の姿があった。




「………葵っ…」



その姿を見たら、体が無意識のうちにまた動いて、葵のそばに駆け寄ってた。



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