怪我してないかなとか、鼻折られたりして変な顔になってないかなとか、いろんな事考えた。



そんなこんなで、前に携帯の時計見た頃からどのくらい経ったんだろうって思って、



また携帯を見たら、さっき見た時計の時刻から5分も経ってなかった。



心配しすぎなのかもしれない。

いくら暴走族に入らなかったからって、さすがに康介さんも葵を殺すことはないと思う。



まぁ、ないと思いたいだけなんだけど。



でも心配しすぎなんだっていうことは分かる。

分かってる。

葵は前に心配させない、って言ってくれた。

しかも喧嘩しない、とも言ってくれた。



今葵は喧嘩してて、前に私にしてくれた約束は破ってることになるけど、心配かけてるけど、



嫌じゃない。

私のために、って思ったら嫌じゃない。

でもそんな自分が少し憎い。

自分のためじゃなく喧嘩して怪我する葵が嫌で、自分のために喧嘩して怪我する葵はいいなんて、

やっぱり自分がいちばんだと、自分の心のどこかにあるなんて思ったら、自分が憎かった。




「おい」




突然誰かが来たと思ったら、


口の端が切れ、まぶたが腫れて青紫になって痛々しい顔の康介さんが、私に近づいてきた。



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