ダンって大きい音をたてて目の前にあるガラステーブルを蹴る康介さんは吸ってた煙草を床に落とした。




「あのな?分かんねぇかもしれねぇけど、先輩からの誘いを断ったら落とし前つけるっつうのが礼儀なんだよ」


「………」


「健吾さんは『葵には葵の人生がある。無理矢理入れようとは思ってねぇ』って許したけど、」


「………」


「俺は許す気ねぇんだよ。まぁ、今回は舞子のことでもムカついてんだけどさ」



そんな康介さんの言葉に私は思った。



なんてこの人は最低なんだろう。

なんで自分のことしか考えられないんだろう。

なんでこんなに他の人を傷つけたがるんだろう。


私には分かんない。

その神経が分かんないし、人を傷つけるために更に犠牲者を出す意味も分かんない。



そう思った。



だけど康介さんには私とは違う考えがあるみたいで、



「舞子とのことは俺と舞子の問題なんだよ。どうせ舞子だって俺のこと本気なわけじゃ…」


「何言ってるんですか?」


「あ?」



舞子さんが康介さんに本気じゃない?どうして?なんで?

なんで舞子さんでもないのに、そんなこと言えるの?



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