「あいつは俺の『デビルに入らねぇか?』って誘いを断った」



………え…?

葵が…デビルの……誘い?



「元々あいつは健吾さんにデビルに誘われてたんだ。けど何でか知らねぇけど、あいつは断った」


「………」


「『絶対族には入らねぇ』って言って、健吾さんのも俺のも断りやがった」


「………」


「あいつは素質あんだよ。喧嘩強ぇし、仲間まとめる力もあるし、族には入った方がいい」



康介さんの話してることがどんなことなのか、だんだん分かってきた。


葵は前に健吾さんにも康介さんにもデビルに入れって誘われてるみたいで、
それなのに、その誘いを葵は見事に断ったらしい。



「なのに断ったあいつは馬鹿の何者でもねぇ。俺に一回落とし前つけなきゃなんねぇんだよ」



天井に向かって煙草の煙をフーッと吹く康介さん。

一瞬、フッと鼻で笑った。



「デビルに入ったら総長にしてやろうと思ったのに。ホントにあいつ馬鹿だよな」



健吾さんから康介さんからのデビルへの誘いを断ったその時の葵の気持ちが分かるわけじゃないけど、

葵を馬鹿にしたように笑う康介さんが、何か許せなかった。



葵はどんな事でも本気で取り組んで、どんな事でも真剣に考えるから、

絶対に……ううん、絶対とは言えないけど、たぶんデビルのことも真剣に考えた結果だと思う。



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