さっきまでの私を引き止めようとしてた葵はいなくて、
その目はあの裕吾さんを利用しようとしてたギャルたちを睨むような目だった。
もう戻れない。
そう思った。
「別れてぇのか、俺と」
葵のその低い声は、もう聞くのは最後だぞって言ってみるみたいだった。
これで葵と終わっちゃう。
そう考えただけで、さっきまで自分が葵に言ってた言葉が信じれなくて………
声を出せなかった。
さっきまでの舞子さんにたいする嫉妬とか、葵にたいする怒りとか、分かんなくなってた。
だから頷いた。
葵の顔も見れずに。
「そうか」
「…」
「別れてぇのか」
「…」
「でも、悪かった」
「…」
「『だったら?』なんて、あやふやなこと言って」
「…」
「舞子さん助けるためだったんだ」
「…」
「俺はお前だけが好きだ」
「…」
「今でも好きだ」
嘘つき。バカやろう。
好きなんかじゃ…ないくせに。
葵の優しい言葉に別れを切り出しても尚泣きそうになる私は、やっぱり安い女なんだろう。
葵が私に背中を向けて、緑さんたちの方へ歩いていくのを見てるだけでも、涙が出てきた。
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