葵の家の前だということも忘れていて、いったいどのくらい葵の話を聞いていたんだろう。



やっと話が終わり、舞子さんのことにさっきの話が関係してることも分かった。



たぶん今から何も知らない人に、葵が話してくれたこと全てを説明しろって言われても平気だと思う。



それくらい、理解出来た。



だから今誰が来ても――…なんて呑気に思ってる時だった。



「ねぇ、ほんとに誰もいないのぉ?」

「いねぇよ。つか、いたとしても気にしなくて平気だって」

「えー…、やっぱお兄さんとかいたら気にするよぉ」

「平気だって。たぶん今頃どっかたむろってるに決まって―…」



パチッと目が合った。



いや、私とというより、葵と向こうから来る人の目が合った。



葵の家の車庫に停まってるバイクに跨ったままの私と、すれすれにある壁に寄りかかる葵。



そして向こうから楽しそうに話しながら歩いてきたのは、顔からして、葵の弟の城人くん。



けど城人くんは1人じゃなくて、横にいる女の子と手を繋いで歩いてきた。



たぶん、彼女。



.