学校祭の時と同じ過ちを繰り返そうとしてた私は、どうも学習能力が低いのかもしれない。



葵に全てを話した方が楽だし、解決して不安が無くなる事も分かってるんだけど


変な意地が邪魔をして葵に全てを話せないのがいつもで。


それを繰り返そうとしてた。



でも、やっぱりいざ話そうとすると、喉の奥が詰まってなかなか話せない。



声が、出ない。



「話さないと分かんねぇよ。話してないのに、葵は分かってくんないとか言うなよ?」



玄関には上がろうとせず、ドアを開けただけの葵は私から視線を逸らすことはなかった。



視線を逸らさないから。

余計に言いづらい。



それなのに………葵が私から視線を逸らすことは、どんなに沈黙が続いてもなかった。




「あ、のね…」



私がやっとそう声を出せたのは、葵が待ちくたびれて煙草を吸い始めた時で。



「ん?」



なんて、葵が優しく声を出すから、つい顔が緩みそうになった。



「舞子さん、ってさ…」


「ああ」


「葵にとって……どんな存在なの?」



.