案の定、ドアの向こう側に居たのは、ご立腹感満載の葵だった。



このまま居留守を使うことも出来るけど、さすがにそこまですると葵に怒られそうだから止めた。



ガチャンと音をたててゆっくり開いたドアは、

葵の手によって早く開いた。



「………」


「………」


「用事、ねぇだろ」



片手でドアを開けて、血相を変えた葵は私を鋭く睨んだ。



確かに用事はないけど。

私が嘘をついたから怒ってんのは分かるけど。

結局、怒ってるだけで私の気持ちを分かろうとしてな――…



待って。

ちょっと待って。

葵が……私の気持ちを分かろうと……してない？



違う。違うよ。

私、またじゃん。

葵に何にも話してないじゃん。

不安だって、この前みたいに我慢して葵に話してないじゃん。

私……また同じこと繰り返してる。



葵は私の気持ち必死に分かろうとしてるのに、それを私が１人で勝手に我慢してるだけ。



なのに……葵が……分かろうとしてないなんて……。



「また何か隠してねぇ？」



ほら、葵は私の不安を消そうとしてくれてる。



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