「今日はありがとう」
家に着いたからお礼を言わなきゃと思いそう言うと、慎悟くんは爽やかに笑ってくれた。
貸してもらったヘルメットを返すと、慎悟くんは自分のヘルメットを脱いだ。
やっぱり優しい慎悟くんは、最後の最後まで、安全運転で私を家まで送ってくれた。
慎悟くんによると慎悟くんの普段の運転は乱暴らしく、
今回は葵に『安全運転にしろ』って念入りに言われたから、安全運転で頑張ったと言っていた。
「つーか、大丈夫?」
ヘルメットを再び被りなおした慎悟くんは、心配そうな表情で私を見つめた。
「…大丈夫、って?」
「いや、何かさぁ、舞子さんって分かりやすくなかった?」
「?」
いったい慎悟くんが何の話をしてるのか分かんなくて、首を傾げてみた。
すると、慎悟くんは爽やかに笑った。
「明らかに元カノの態度じゃないでしょ、あれは。葵を好きだって見え見えじゃん」
そして、そう言った。
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