私をウザがってたんじゃなくて、
話が終わったから早く帰りたくて不機嫌だったから無視しちゃってたってことが分かった私は、
一気にテンションが上がった。
………だけど、せっかく葵と二人きりになれると嬉しく思ってたらしい舞子さんが今度は機嫌が悪くなって
「あたしも帰るの入れてほしいんだけど…いいかなぁ?」
甘い大人な声で、私たちと一緒に喫茶店を出ようとしていた。
きっと葵は断ってくれるはず。
だって早く家に帰りたいから、バイクに乗りたいはずだし……。
「当たり前だろ。彼氏に会ったらやべぇし」
「本当に?ありがとぉ」
見事に私の期待は裏切られ、
舞子さんがどこまでも大事らしい葵は、舞子さんを暴力彼氏から守ってあげるらしい。
会計を済まして喫茶店を出ると、葵は誰かに電話をしながら行きに乗ってきたバイクのエンジンをかけた。
「何かごめんね?せっかく二人きりの時間に邪魔しちゃって」
「いいえ、舞子さん彼氏のことで大変なんだからいいんですよ」
申し訳なさそうに舞子さんがそう言うから、ついついフォローしてしまう。
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