「彼女の…美鈴ちゃんだよね?」



葵が頼んだ珈琲と私が頼んだレモンティーがテーブルの上に来た頃



長谷川舞子の口が開いた。



「…はい」


「私ね、モデルやってるんだけど…知ってるかな?」


「し、知ってます」



長谷川舞子の自分でモデルをやってるんだけどという言い方は、ちっとも自慢気じゃなかった。



むしろ知ってくれてたらありがたいなぁ、といった腰の低い感じの言い方だった。




「あはは、可愛いなぁ。いくつ?葵とタメ?」


「あ、はい」


「ほんと可愛いなぁ。葵には勿体ない」


「んだよそれ」



女子中高生からカリスマモデルとして憧れのまとになってる人と
1対1で話すのには、かなりの体力が必要らしい。



そこに葵が話に入ってきてくれたから助かったので、レモンティーを喉に流し込んだ。



それからというもの、



長谷川舞子の彼氏の話になることはなく、長谷川舞子は私にひたすら質問攻めした。



好きなものは何?

嫌いなものは何?

どこ中?どこ小?

葵とはどこで知り合ったの?

葵とはどこまでやったの?

葵のどこが好きなの?



質問攻めが終わったのは、喫茶店に着いてから2時間が経過したときだった。



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