でも菊哉の分かりやすいような分かりにくいような説明からは、
菊哉には大きな夢があると知った。
菊哉は自分んちのラーメン屋を継ぎたいらしい。
継ぐために今修行していて、お父さんにラーメンを作らせてもらえるまで止めないらしい。
だから集まりにも行けない、と笑いながら言っていた。
「本当は集まりだって行きてぇけど無理なんだよ。出来るだけ早く一人前になりてぇからよ」
「何で、出来るだけ早くなの?」
私がそう聞くと、菊哉からは菊哉らしい返事が返ってきた。
「早く一人前になって働けたら、早くゆずを幸せに出来るじゃん」
「………」
「………」
「おい、聞いてんのか」
「…そういえばさぁ、明日大雨だって知ってた?」
「は?マジで?」
「話を逸らすなーっ!」
菊哉が馬鹿でかい声で叫ぶから両耳を塞いで鼓膜を守った。
まぁ菊哉らしいっちゃ菊哉らしい考えだと思った。
ゆずと早く結婚するために早く一人前になってラーメン屋継ぎたいってことでしょ?
この歳でそんな先のことまで考えてるのって凄いと思う。
私なんか考えてない。
今年受験生だっていうのに全然考えてない。
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