「何で抜け出すの?」
「ん?2人になりてぇから」
こんなサラッと恥ずかしいことを言えるのは葵だけだと改めて思った。
普通じゃこんなこと言えない。
勇気出しても言えない。
だから顔がすぐに赤くなった私は恥ずかしさのあまり流れに任せて葵と2人で抜け出した。
抜け出したというよりは、2人で菊哉の実家へ行っただけだけど。
菊哉の実家はラーメン屋で、月に2・3回はラーメンを常連になるくらい食べに行った。
「やっぱ菊哉んちのラーメンは美味しい!」
「だろ?」
「っつっても、お前が作ってるわけじゃねぇだろ」
『まあ、そうなんだけど…』と自信なそうに言う菊哉は親切にコップに水を淹れてくれた。
ちょうど喉が乾いてたからゴクゴクっと一気に水を飲んだ。
「つうか、お前何で最近集まり来ねぇの?」
さっきまでラーメンを物凄い速さで食べてた葵が、私の目の前にある水の入ったコップを取った。
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