腕を掴まれて顔を見上げると、葵は無表情で私を見下ろしていた。



「どこ行くんだよ」



煙草を吸ってたからこうやって腕を掴まれて引き止められることは無いだろうと思ってたのに



葵は見事に煙草を吸い終わっていた。



「どこって……ただ床に降りただけだし」



挑発的な視線を葵に送ると、さらに倍の挑発的な視線を送られた。



すると、掴まれた右腕を勢い良く引っ張られて、ベッドに再び乗ることになってしまった。



結局ベッドの上に乗る状態になってしまった私は、強引に葵の胸の中に収められてた。



ち、近い…!



顔の目の前に葵の胸があって、ドクンドクンと葵の鼓動が伝わってくる。



その鼓動が丁度心地良くて、



葵に抱き締められてるからつい暖かくて重い瞼を閉じようと眠る体勢に入った時だった。



「お前は?」



頭上から低い葵の声が聞こえた。



「お前は俺のこと、どんくらい好きなんだよ?」



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