「そういう意味じゃないの。口で教えてくれればいいの。ほら、よくドラマとかであるじゃん」
「ドラマ?」
「うん、ドラマ」
あるよね。
彼氏が彼女に『俺のことどんくらい好き?』って聞いてから
彼女が『こーんぐらい!』って言って手をめいっぱい広げるやつ。
あれ?あるよね?
それを葵に伝えると…
「初耳」
葵はさらっとそう言い
ベッドの上に置いてある煙草の箱から煙草を一本取り出して火を付け、口に銜えた。
ありえない。
初耳なんてありえない。
いや待てよ?
私がドラマの見過ぎとか?
…ありえるかもしれない。
「とっ、とにかく!もう教えてもらわなくていいから!」
「あんだけ教えろ言っといて?」
「だ、だって体……とか全然関係ないし!」
私を押し倒してた葵は煙草を吸うために座り直したため、私はやっと葵から解放された。
葵から逃げるようにベッドから降りると、右腕だけ葵に掴まれた。
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