夜だから外は肌寒いのに、葵はまだドアに寄りかかって私を待ってくれてる。



煙草の煙を口から吐く姿が絵になってて、思わずキュンとした。



けど、電話の向こう側では。



《イチャイチャするしかないでしょ!あ、それともヤってんじゃないでしょうね?!》



自分の実の母が、破廉恥な言葉を大声で叫んでいた。



「…なっ、何言ってんの」

《だってもう何回もヤってんでしょ?お母さんは何でも知ってるんだからね》

「て、ていうか、お母さんがそんな事言わないでよ」

《何で?お母さんだって、娘の恋路を応援してあげたいのよ》



いや、応援してくれなくてもいいから。

むしろ、お母さんが応援したら大変なことになりそうだから。



「私の話はもういいから。電話してきたってことは何か話すことがあるんでしょ?」



寒い中葵を待たすのも悪いから早く電話を終わらせようと、お母さんに本題を聞いた。



すると、お母さんは、



《ああ、話ね?わざわざ電話するほどのことでもないんだけどね》

「…何?」

《できちゃったのよ》

「…は?」

《赤ちゃんがね、できちゃったのよ》



………。



うぇえぇえぇえ?!!



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