いじり終わったのか携帯をズボンのポケットにしまい、それと同時に顔を上げた瞬間…
私と目が合った。
それで私とゆずの存在にやっと気付いたらしい葵は隣にいない菊哉にも気付き、こっちに向かってきた。
「あれ?お前ら打ち上げじゃなかったっけ?」
「買い出しに来たの」
「ああ、買い出しか」
それから菊哉とゆずは何だかんだいって、大阪のおばちゃんみたいに長い時間話してた。
私はゆずの隣で、さっき買ったガムを噛んで暇つぶししていた。
葵は再び携帯をいじっていて、イチャイチャする2人と反対方向を見ていた。
たぶんイチャイチャしてるカップルを見るのが嫌いだからなんだろう。
「ゆず、そろそろ行くよ」
「あ、ごめんごめん!行こ!」
ゆずは菊哉との話を無理矢理終わらせた。
やっと終わったかと思い、スタスタと学校へと歩くゆずの後を追おうとした時だった。
暗く静かな夜の空に、低く小さな声が聞こえた。
「行くなよ」
.



