「え?」




突然右手首を葵に掴まれた。



私を真っ直ぐ見る葵は、まだ怒ってるみたいで冷たかった。



右手首を掴まれた意味が分かんなくてきょとんとしてると、葵が低い声で呟いた。




「あいつ誰だよ」




……あいつ?



いったい誰のことを言ってるのか分かんない。




「誰の…こと?」


「黒髪の女好き」




黒髪の………女好き………。



私の周りで黒髪って言ったら神崎くらいしかいないけど………って女好きじゃんアイツ!



アイツ何かした?

葵に何かした?

昔っから男には嫌われるタイプだったからなー…。




「あいつ、誰なわけ」


「……神崎」


「ふーん、神崎っつーのか」




葵は怪しい笑みを浮かべて、しっかりと掴んでた私の右手首を離した。




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