「美鈴!会計に戻ってよ!」



極悪な神崎のせいで、すっかり自分の仕事の会計を忘れてて、女の子に呼ばれてやっと気付いた。



会計に戻ろうと、手作りのレジが置いてある机の方に行こうとした。



すると突然、腕を掴まれた。



「なぁ、お前ってさ…」



掴んだのは神崎で、意味ありげな表情でこっちを見ていた。



「な、なに」



何を聞かれるんだろうと思ってからかもしれないけど、少し警戒してしまう。



今度はどんな嫌み?

うんと酷いのだったら、ぶん殴ってやろうかな――…



なんて思ってる時だった。



「佐々木葵と付き合ってんだろ?」



『カレーライス好きなんだろ?』と聞くようなノリで聞いてきた。



「……。…は?」



だから、これしか言えなかった。



突っ込みたいところはいっぱいある。



そもそも、何で葵のこと知ってるような言い方なわけ?


何で付き合ってるの知ってるの?


誰から聞いたの?



ってかさぁ――…



あんたに関係なくない?



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