半分しか開いてない目でちゃっかりと、2人が手を繋いでるところを見た私。



私に近付くゆずは教室に入るなり、繋いでた手を解いた。



何で解いちゃうんだろう、と思った私は、一晩中泣いて赤くなった目を見られないように再び伏せた。



「美鈴?どした?」



急に伏せた私を変に思ったのか、ゆずは心配そうな声を出して、隣の席に座った。



それでも私は赤い目を見られたくなくて、顔は伏せたままだった。



「何かあったの?」



本当に心配そうな声を出すもんだから、ゆずの胸を借りて大声で泣きたかった。



だって、あの葵を本気で怒らせちゃった。

自分が話さないからいけないのに、葵のせいにしちゃった。

寂しかったなんて、私の方を見てなかった葵が気づくはずないのに。



気付いてほしいとか。

葵が分かんないからいけないとか。



自分勝手なことばっか葵に言って、葵の聞いてることに答えようとしなかった。



それなのに―…


それなのに―…



あそこで、慎悟くんの名前を言うなんて、私どこまで最低なんだろう。



「……え…、美鈴…」



自然と声を出しながら、泣いていた。



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