行きに来た道をとにかく進んで、分からない道は何となく右に曲がってみた。



葵んちに行けばなんとか帰れるから葵んちを目指したけど、葵んちらしき家が見当たらない。



ってか、今自分がいる場所自体どこなのか分かんない。


しかも電灯が全然ない。



だからかもしれないけど、夜ってのもあるかもしれないけど、とにかく暗くて怖い。



後ろから誰か襲ってくるんじゃないの!?

白い着物着た髪の長い女の人が後ろにいるんじゃないの!?

お化け出てくるんじゃないの!?

あたし死んじゃうんじゃないの!?



そんなことを考えちゃうくらいに辺りは暗くて薄気味悪い。



今ここで葵が追いかけて来てくれたら、こんな怖い思いしなくても済んだのに。



―…なんて、実際は勝手に私が出てきたのがいけないのは分かってる。



でも、追いかけて来てほしいのは女心ってやつで。



追いかけて来てほしいからこそ、勝手に出ていってるわけで。


何も言わなくても、追いかけて来てほしいのが女心ってわけで。



まったく知らない道を進む私のところに、期待してた葵が来ることはなかった。



.