痛がってる葵を放って、葵が飲んでたコーラを口に含んだ。



葵のお兄さんとの初対面で緊張して疲れて、喉がカラカラに乾いた。



でも、コーラを飲んでると葵の手が私の顔に近付いてた。



「何?」



素早くコーラを飲むのを止め、近付いてくる葵の手をスローモーションで見てた。



「え?あ、いや……」



あやふやに言葉を濁して、吸い終わったのか、煙草を灰皿でもみ消した。



怪しい……何か怪しい。



一度近付いてきた手はすぐに引っ込められ、近付いてくる事はなかった。



ますます怪しい…怪しすぎる。



どんどん怪しくなる葵は、いつも吸う2本目の煙草を吸わず、私の手からコーラを取った。



「絶対に動くな」

「え?」

「んで、驚くな騒ぐな叫ぶな」

「は?」

「いいから。分かった?」

「…あ、うん」



よく分かんない約束をされ、しばらくすると、葵の手が再び私の顔に近付いてきた。



思わず目を瞑ってしまったが、特に何もなく、葵の手が頭に触れてすぐに離れた。



…え?何?



目を開けて、私の目に最初に飛び込んできたのは、葵の手が持ってるエメラルド色のカナブンだった。



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