こんなにも葵に会いたくなったのは初めてってくらい、私は今物凄く葵に会いたい。
たぶん私は、後数分経てば失神して倒れて帰らぬ人になっちゃうかもしれない。
その前に何とか、けりをつけて早く私のところに来てほしい。
失神しかけてる私は、半分開いてるドアに寄りかかるように左手をドアについた。
不審な行動をする私を、まるで不審者を見るような目で見てくる偉そうなその人は、
「この家、金目当てで勝手に入ってくるやつ多くて困ってんだよな」
私を不審者と間違えてるみたいだった。
いやいやいやいや。
私不審者じゃないんですけど。
この家に住んでる葵の歴とした彼女なんですよ。
不審者じゃないと分かってもらいたいけど、この家に住んでるであろうこの人に分かるはずがない!
だって、私だって自分の家に知らない人がいたら、一番に不審者だと疑うだろう。
だから、この怖い人の気持ちも分からなくもないけど!
―…いや待てよ。
もしかしたら、この人は、ここを自分の家のように言って実は嘘をついてるのかもしれない!
だって葵が家に入れてくれる時は、いつも家の中に誰もいない時だけだもん!
実は、この怖い人こそが、金目当てで勝手にこの家に入った不審者なんじゃ…!!!
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