ヤバい。このままはヤバい。

葵がいつキレて暴れ出すか分からない。

普段キレない葵がキレたら、さすがにヤバい。



ねぇねぇねぇねぇ五月蝿(うるさ)いギャル達が、絶対にありえないだろうけど

もし土下座して謝ったとしても、葵がキレたら止められない。



私は眉間に皺を寄せてキレる寸前の葵の横で、体操座りで体をビクビクさせながら怯えてた。



絶対にキレないで。

これから先何でも聞いてあげるから。

毎日キスしてもいいから。

毎日エッチしてもいいから。



だからキレないで。

絶対に絶対に、キレないで。



他人が見ても分かるんじゃないかってくらい肩がビクビクと震えてる私の横で

無言で、ただドアを真っ直ぐに見つめる葵。



「美鈴」



突然名前をとんでもなく低い声で言われて、肩が飛び跳ねるように震えた。



「なっ、何でござんしょう」


「お前、何時代の人だよ」



怯えすぎて出た言葉は何時代のものか自分でも分からないもので、あたし何言ってんだろうと思った。



でも何より葵が突っ込んでくれたことが嬉しくて、まだキレることはないと安心した。



葵が本当にキレる寸前になったら、私が話しても返事してくれないほど冷たくなる。


だから、私の言葉に返事してくれたことで安心出来た。



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