夏休みもあっという間に明け、秋に入ろうとしてるのに蝉が五月蝿いある日の学校。




「お前らーっ!根性もういっぺん叩き直してやろうかーっ!」




今日も三年の廊下には、生活指導の天沢先生の声が響き渡った。



もちろん追いかけられているのは菊哉と葵とその他の男子数名。



"不良"といった言葉がとてもお似合いな男子達は、今日も天沢先生を振り回す。



天沢先生も今年三十路なのに可哀想だな、と今じゃサボり魔の私は廊下を見ながら思った。



私のクラスは今は3時間目で理科の授業中。

ゆずも同じクラスで、眼鏡をかけて真面目に授業を受けている。



葵と菊哉は違うクラスで、今は美術の授業らしく美術室から抜け出してきたらしい。



理科の授業はあまりにもつまらなくて、私も教室を抜け出したくなった。



………けど、不良になるのはごめんだから止めておいた。



それから、しばらく廊下を走る葵たちを見てると、葵とバッチリ目が合ってしまった。



……げっ。



嫌な予感がした。



すると、予感が的中したみたいで葵がこっちに向かって走ってきた。



いやいやいや!
来なくていいって!


今授業中だから!
私真面目なんだから!


この後昼休みだから!
その時話そうよ!


だから来ないで!



.