でも一人で留守番するのは、どうも嫌らしく駄々をこねる子供のように"無理"と連発した。



数時間待ってればいいだけのことなのに、この変態不良男は幼稚園児みたく留守番は嫌らしい。



あたしなんか小学校の低学年の頃から留守番なんか平気だったっていうのに。


これだから、おぼっちゃまは困るんだなぁ。



きっと中学生まで一人で留守番なんかしてた記憶なんかないんじゃないだろうか。


まあ、中学生の時は家にいなかっただろうけど、小学校の時も家にはお手伝いさんが居たに違いない。



「初めてで怖いかもしれないけど、これからのために留守番は慣れてもらわないといけないから」


「は?」



家に一人で居るってことが怖いから、あたしが出掛けて自分が留守番することが無理とか言ってんだ。



でも、これからは私が居ないときがあるかもしれないから慣れてもらわないと。



“こいつ何言ってんのか意味分かんねぇ”と葵の顔が言ってる。


それさえも無視して私は話を続ける。



「一人は怖いかもしれないけど、慣れたら結構快適だよ」


「は?」


「今日はすぐ帰ってくるから。煙草吸っててもいいから。だから我慢して留守番してて?」


「何の話してんの?」


「え……留守番の話?」



私がそう言うと、葵は私の手を力強く握り締めてきた。



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