彼は閉店の1時間前にやって来て、カウンター席でコーヒーを飲みながら文庫本を開いていた。
もう彼が土曜日にドナルドを着て来るようになってだいぶたつ。
もともと常連客だった彼を、店の外で初めて見かけたのは、店の近くの街灯の下だった。
彼は突っ立って文庫本を読んでいた。
店閉めを済ませて、帰宅しようとしていた私がその姿にぎょっと驚いたのと、彼が本を閉じるのがほぼ同時だった。