アパートの大家さんに挨拶、
そして
この猫を飼って良いかを確かめた。

「挨拶は明日にしよう。」

ダンボールだらけの部屋に入り、猫を置いた。
タオルで拭いたけど、やはり寒そう。
自分も雨の中、とても寒く手が凍りそうになった。
今日は土曜日、こんな時間だけど仕事は明後日から。夜ふかししても大丈夫なはず。

そう思った忍は、

「よーし、じゃあ一緒に入ろっか!
お風呂!!」

名前とか決めてない。
忍は考えた末に、
今日は九日で雨の日だった事から。

九雨(クウ)

と名づけた。

「よーし!クウ!お風呂入ろ!」
〝ヤーォ〟

といい返事をしたクウを
忍は抱っこし、お風呂場へ向かった。
濡れた服を脱いでクウを抱っこ。

お湯を四分の一入れて、クウを入れた。

その間、忍は頭を濡らして頭を洗っていた。
次に身体を洗いながら、

「クウ、どーお?気持ちいい?」

と猫に喋りかける。
気持ち悪かったかなと思いながらお風呂を見る。するとーーーーーーーーーー‥‥

「!!‥‥え、えぇ‥‥?なっ‥‥えっ?」

開いた口が塞がらない、
それもその筈風呂を見ると。
裸の男が、首をプルプル降って立っていたのだった。
クリクリモフモフなグレーの髪の毛には猫耳が頭にしっかりとついていて、後ろからはユラユラと尻尾を揺らつかせている。忍より背が低く、身体が少しだけ小さい。裸な男は、びしょ濡れで。不審者かと思ったが。このトロンとした目に忍は見覚えがあった。
すると男は足をあげて、風呂から出ると。
これまた裸な忍に近づく。

「なっ‥‥何!?////」

男はしゃがみ、忍と目線を合わせると。
肩をつかみ自分に引き寄せた。グイッと引き寄せられた忍は、心臓がバクバクと高鳴り。
何もかもにパニック状態で何の抵抗も出来なかった。
男との顔はどんどん近づき、ついに
ふんわりとした柔らかい唇が、忍の唇にそっとついた。
ゆっくりと唇を離し

「ありがとう。」

ふにゃりと笑顔を見せた。

いきなりの事に頭から煙が出そうな勢いだった。言葉も詰まって出てこない。
男はタオルを二枚取り出し、一枚は自分。
二枚目は忍に手渡した。
落ち着いたとまではいかないが、タオルを身体に巻く。

男はテキパキと風呂にお湯を入れて。

「ボクは入ったから、どうぞ入って。
ボクはもう出てるね?」

と身体を拭いて、何もなかったようにドアからを開けて部屋に戻る。
ん?戻るであってるの?とは思ったが、それどころではない。

とりあえず〝クウらしき男〟が入れてくれた風呂にゆっくりと入る。



今日の夜は長くなりそう。