嘘とワンダーランド

「おう、待ったか?」

課長がわたしの前に現れたのは、待ち合わせ時間である19時ちょうどだった。

「わたしもたった今きたところなので…」

わたしは答えた。

「じゃ、行くぞ」

どこにですか?

そう聞こうとしたわたしから逃げるように、課長はドアの方へと向かっていた。

空っぽになったカップをゴミ箱に捨てると、わたしも課長の後を追ってドアへと足を向かわせた。

店の外に出ると、真っ暗で冷たい風が吹いていた。

だいぶ秋も深まってきたなと思っていたら、
「行くぞ。

7時半に予約してるんだ」

課長がそう言って、わたしの手を繋いできた。

そばにいる相手は違うけれど、手を繋いだのは今日で2回目である。