嘘とワンダーランド

課長がわたしのことを心配している?

…まさか、そんなことがある訳あるまい。

わたしの行動には一切口を出さないと宣言していたヤツが、わたしの心配をしてくれるとは到底思えない。

そう結論づけると、
「別にどこへ行こうがわたしの勝手じゃないですか」

わたしは言った。

「へえ。

すぐに答えることができないって言うことは、よっぽどいかがわしいところに行っていたって言うことなのか?」

眼鏡越しでにらみつけるように言ってきた課長に、
「そんなことは言ってないじゃないですか」

わたしは言い返した。

「そもそも、どうして課長にどこへ行ったなんて報告をしないといけないんですか?」

そう言ったわたしに、
「上司と部下の関係は会社の方だ。

ここでは夫と妻の関係だ」

課長が言った。

会社では上司と部下の関係で、ここでは夫と妻の関係?

わたしの聞き間違いじゃなかったら、課長はそんなことを口に出したはずだ。