嘘とワンダーランド

「若菜?」

京やんに名前を呼ばれ、わたしは我に返った。

「ああ、何?」

そう聞いたわたしに、
「そろそろ戻らねーと昼休みが終わるぞ」

京やんが答えた。

「もうそんな時間なんだ」

そう呟きながら、わたしは京やんと一緒に会社へと向かって歩き出した。

「1つだけ聞いてもいい?」

歩きながら、わたしは京やんに聞いた。

「何だ?」

そう聞き返してきた京やんに、
「京やんは課長のことをどう思ってるの?」

わたしは聞いた。

「はっ、どう言う意味だよ?」

京やんは訳がわからないと言うように首を傾げた。

そうですよね…。

いきなりそんなことを聞かれたら、訳がわからないと言う顔をしますよね。

わかっていました。