嘘とワンダーランド

「はい」

返事をした伊園さんにお父さんは目を伏せると、
「――早苗をよろしく頼むぞ」
と、呟くように言った。

そう言ったお父さんに驚いたけれど、すぐに嬉しい気持ちに包まれた。

「はい、約束します」

首を縦に振って、伊園さんが返事をした。

「お父さん…」

お姉ちゃんが呟くようにお父さんを呼んだ。

「直景くんと和也の3人で仲良く、幸せな家庭を築きあげるんだぞ」

そう言ったお父さんに、
「はい」

お姉ちゃんは首を縦に振ってうなずいた。

わたしと課長は顔を見あわせると、微笑んだ。

「じゃあ、またくるからね」

そう言ったわたしに、
「気をつけて帰ってね」

お母さんが手を振った。

わたしたちは手を振り返しながら、実家を後にした。