嘘とワンダーランド

ガラッと、課長がガラス戸を開けた。

「ごめんくださーい」

課長が中に向かって呼びかけたら、
「はーい」

パタパタと足音を立てて、お母さんが現れた。

「あら、正文さん!」

課長の顔を見たお母さんが嬉しそうに言った。

「お母さん、遊びにきちゃった」

そう言ったわたしに、
「まあ、若菜もきてくれたの?

連絡してくれたら迎えにきたのに…」

お母さんがお姉ちゃんの存在に気づいた。

その瞬間お姉ちゃんは目をそらすようにうつむくと、腕の中で眠っている和也くんを抱きしめた。

わたしはお母さんとお姉ちゃんの2人の反応を待った。

先に反応したのは、
「――早苗…」

お姉ちゃんの名前を呼んだお母さんに、お姉ちゃんは申し訳なさそうに小さく会釈をした。