嘘とワンダーランド

課長の質問に、
「――浮気していたからよ…」

お姉ちゃんが呟くように言った。

「う、浮気?」

伊園さんは訳がわからないと言う顔をした。

「私に隠れて他の女と会ってたじゃない!

和也を出産した翌日と私が出て行く前日に、他の女と会ってたじゃない!」

怒鳴るように言い返したお姉ちゃんに、
「お姉ちゃん、和也くんが起きちゃう」

わたしは人差し指を唇の前に出した。

思い出したと言うように、お姉ちゃんは慌てて口を閉じた。

「早苗、それは誤解だ。

彼女は姉なんだ」

そう言った伊園さんに、
「姉って…。

あなた、お兄さんしかいないって…!」

「そうじゃなくて、兄貴の嫁なんだ」

お姉ちゃんの言葉をさえぎるように、伊園さんが言った。