嘘とワンダーランド

課長と手を繋いでいる間、わたしは考えていた。

先ほどかかってきた、お姉ちゃんの夫と名乗る人からの電話。

お姉ちゃんとその人との間に子供がいたこと。

そして、お姉ちゃんがいなくなったこと。

明日の昼休みになれば全てを知ることができるけど、わたしは不安だった。

一体、どう言うことなんだろう?

お姉ちゃんがいなくなったって、何なの?

駆け落ちをして出て行ってしまったとは言え、わたしのお姉ちゃんはただ1人だけだ。

確かに、最初はお姉ちゃんが出て行ったことを恨んだ。

だけど今は、彼女の政略結婚の相手だった課長と結ばれたから恨んでいない。

むしろ、感謝しているくらいだ。

もうすぐくるクリスマスに浮かれている夜の街を歩きながら、わたしはお姉ちゃんのことを考えていた。