嘘とワンダーランド

相手がどんな人なのかはわからないけれど、お姉ちゃんがいなくなったと言うことを詳しく聞くのが先だ。

何かの間違いであって欲しいんだけどなあ…。

「では、明日の12時にお待ちしています」

そう言った後、わたしは電話を切った。

同時に、課長が店内から出てきた。

「電話してたみたいだけど、誰からだったんだ?」

課長がわたしのところに歩み寄ると、聞いてきた。

「えっと、友達からです。

今度一緒に飲みに行かないかって誘われちゃって…」

とっさについたウソに、わたしの胸がチクンと痛んだ。

わたし、初めて課長にウソをついた…。

「ふーん、そうか」

課長が返事をした。

何も問いつめられなかったことに、ホッと胸をなで下ろした。

よかった、バレなかった…。