嘘とワンダーランド

「誰かアドレスでも変更したのかしら?」

そう思いながら画面をタップすると、その番号に電話をかけた。

ガチャッと、すぐに電話に出てきた。

「もしもし?」

そう聞いたわたしに、
「福田若菜さんの番号で、あっていますか?」

電話越しから聞いてきた声は男だった。

やっぱり、知らないなあ。

「そうですけど、どちら様でしょうか?」

質問をしたわたしに、
「福田早苗の夫です。

早苗がそちらにお邪魔していないでしょうか?」

「はあっ?」

聞かれたわたしは訳がわからなかった。

と言うか…お姉ちゃんの夫って、一体何なの!?

「ちょっ…ちょっと、ふざけないでくださいよ!

姉は今年の春に家を出て行って以来、連絡をとっていないんです」

強い口調でわたしは言い返した。